1月3日。
日付けが変わってほどなくして、旦那さまと探偵っぽく名古屋に向かう。
家を出て、約45分。なんちゃって名古屋探偵は昼間なら名古屋まで軽く1時間はかかるけれど、夜中だと名岐バイパスもスムーズに走れるのだ。
目指すは、仲の良い友人宅。
こんな夜中に、友人宅へ遊びに行くわけではない。
今、友人は自分の実家へ子どもを連れて帰っている。
友人の旦那さま。
実は、名古屋で浮気している可能性が高いんです。 だからといって私達が浮気の調査をしに探偵になるわけではないが、なんとなく探偵になった気分で彼女に寄り添っている感じだ。
友人からの相談を受け、私たちがなんちゃって名古屋探偵のようになったのは、今から半年以上前になる。
旦那さまの様子がおかしいと感じてから、もう1年近くたつ。 私達なんちゃって名古屋探偵も結構痺れを切らしてきている感じではあるが、調査対象はなかなか尻尾を出さない。
特に、おこづかいを多く請求されるわけでも、子どもへの態度が変わったわけでもなく、彼女への優しさも変わらない。このまま、気がつかないフリをしていうようか、と、ずいぶん迷っていたのだけれど・・・。
きっかけは、見てはいけないとわかっていながらも、名古屋の探偵のように見てしまった旦那さまの携帯電話。
そこには、知りたくない浮気の痕跡が残っていたのです。
何を隠そう、わたしの旦那さまの夢は、名古屋の探偵になること、だったそうです。
大学を卒業して、親の期待を背負いつつ、それなりに名の通った名古屋の企業に就職。
そこで、わたしと出会ってしまい、余計、名古屋で探偵になりたい、なんてこと、言えなくなったのだとか。
最後まで、心の中にとどめておいてくれたら良かったのに。 そんなわけで、このように探偵もどきの夫婦は友人を支えようと動いてしまっている訳です。
結婚して1年たって、その心の中の名古屋で探偵をしたいという、秘密を打ち明けてくれちゃったのです。
でも、“あなたの夢のためだから、会社やめてもいいよ”、なんてこと、わたしには言えませんでした。
ちゃんと子どもも欲しいし、計画してローンを組んでしまったマイホーム。
それを抱えつつ、夢を応援する勇気が持てない、と涙ながらに訴え、旦那さまの名古屋での探偵になる夢をあきらめてもらったのでした。
わがままを言わない、タバコも吸わない、お酒は2人で軽くたしなむ程度。
買い物に行ったら荷物も持ってくれるし、誕生日や記念日には、貯めたおこづかいからプレゼントをサプライズしてくれる。
たぶん、理想以上の旦那さま。
そんな旦那さまだから、探偵の夢を応援してあげたい気持ちもあったんですが、
よっぽどでなければ成功しない夢だろう、って、判断しちゃったのです。名古屋で探偵事務所を独立して構えようとするのなら、尚更のこと。
だけど、心のどこかで、本当に申し訳なくて。
正直、名古屋での探偵という夢を叶えてあげられない自分は、
旦那さまにふさわしくないような気持ちになり、離婚まで考えましたが、
そんなわたしの気持ちを理解してくれて、前よりいっそう仲良くなれたのは、とても良かったことなのですが・・・。
で、今、一緒にしているのが、名古屋の探偵の真似ごと。
わたしの友人のひとりに、名古屋での探偵経験者がいて、いろいろ教えてもらっちゃいました。
世の中、浮気に悩んでいる人って、けっこういることに驚いています。
しかも、身近な人にも少なくないんですねー。
探偵でもないのに、探偵の様なことをするなんて、
最初は、あまり乗り気もしなかったんですけど、旦那さまに名古屋での探偵の夢をあきらめてもらった罪悪感から、
名古屋の探偵経験者の友人を家に呼んで話しを聞いたりして、旦那さまの名古屋探偵もどきのお手伝いをすることにしたんです。 |